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短編小説 「姉妹の絆」
雪雲が去り、いつにも増して雪がまぶしく感じられる、これ以上ないそり滑り日和。
思い思いに、一人滑りを楽しむ子ども達だが、そのうち、お友達と「二人乗り」に挑戦し、乗りこなす姿も現れたウルスラゲレンデであった。
そのような中、「私は大好きなお姉さんと滑るわ・・・」と、心に決めた妹。
姉は、一度は仲良く滑り降りてくれたが、同年齢の友達に誘われ「○○ちゃんと滑ってくるね」と声を掛け、その場を離れた。
同じタイミングで、「幼稚園に戻りましょうね~」の声が聞こえた。
「・・・もう、お姉さんとは滑る事が出来ない・・・」そう思った妹の胸には悲しみが押し寄せ、堰を切ったように涙があふれ出た。
「一緒に滑りたかったのに・・・」
あふれる涙は抑える事が出来ない。先生に手を引かれ、それでも止まらない涙を雪の上に落としながら幼稚園まで辿り着いた。
そこには大好きな姉の姿。
周囲のお友達は、「姉を恋しがり涙を流す妹」と「悪気はないのに泣かれてしまってばつの悪そうな姉」を交互に見ていた。
やっと姉に追いついた妹は、ついに思いの丈を姉にぶつける。
「どうしてそりにのってくれないの?! 友達じゃない!!」(ともだち?・・・姉妹なのではないか?・・・と、周囲の友達は事の成り行きを見つめている)
その言葉を聞いた先生、助け舟をそっと出してみた。
「あなた達は、友達より固い絆の姉妹じゃないの。」
それを聞き、「はっ」とした表情に変わった姉は、涙を流し、そして二人はひしと抱き合ったのである。
その光景を見たひとりは涙ぐみ、また、ひとりは「あ~、よかったね~」という明るい表情に変わった。
そして、助け舟を出した先生と顔を見合わせ「よかったね」と頷き合ったのである。
その場にいた皆の心には、「やっぱり仲良しっていいな」「みんな心の中にはやっぱり神様がいて下さるんだ」という温もりと、清々しさが吹き抜け、もうそこまで近づいている春を感じたのであった。
そり滑りの日の、子ども達のワンシーンを「短編小説」風に書いてみました!!